『カラマーゾフの兄弟』第11篇

『カラマーゾフの兄弟』第8篇―第11篇(校正ずみ)   (『ドストエーフスキイ全集』第13巻(1959年、米川正夫による翻訳、河出書房新社)))

『カラマーゾフの兄弟』第8篇 カテゴリーの記事一覧 - 『カラマーゾフの兄弟』『悪霊』『アンナ・カレーニナ』『白痴』(米川正夫・訳)の完全電子化をすすめるブログ 『カラマーゾフの兄弟』第9篇 カテゴリーの記事一覧 - 『カラマーゾフの兄弟』『悪霊』…

『カラマーゾフの兄弟』第十一篇第十章 『それはあいつが言ったんだ!』

[#3字下げ]第十 『それはあいつが言ったんだ!』[#「第十 『それはあいつが言ったんだ!』」は中見出し] アリョーシャは入って来るといきなり、一時間ほど前に、マリヤが自分の住まいへ駈け込んで、スメルジャコフの自殺を告げたと、イヴァンに話した…

『カラマーゾフの兄弟』第十一篇第九章 悪魔 イヴァンの悪夢

[#3字下げ]第九 悪魔 イヴァンの悪夢[#「第九 悪魔 イヴァンの悪夢」は中見出し] 筆者《わたし》は医者ではないが、しかしイヴァンの病気がどういう性質のものか、読者にぜひ少し説明しなければならぬ時期が来たような気がする。少し先廻りをして、一…

『カラマーゾフの兄弟』第十一篇第八章 三度目の、最後の面談

[#3字下げ]第八 三度目の、最後の面談[#「第八 三度目の、最後の面談」は中見出し] まだ半分道も行かないうちに、その日の早朝と同じような、鋭いからっ風が起って、細かいさらさらした粉雪がさかんに降りだした。雪は地面に落ちたが、落ちつくひまも…

『カラマーゾフの兄弟』第十一篇第七章 二度目の訪問

[#3字下げ]第七 二度目の訪問[#「第七 二度目の訪問」は中見出し] スメルジャコフはその時分、病院を出ていた。イヴァンは彼の新しい住まいを知っていた。それは、例の歪みかしいだ丸太づくりの小さい百姓家みたいな家で、廊下を真ん中にして二つに仕…

『カラマーゾフの兄弟』第十一篇第六章 スメルジャコフとの最初の面談

[#3字下げ]第六 スメルジャコフとの最初の面談[#「第六 スメルジャコフとの最初の面談」は中見出し] イヴァンがモスクワから帰って以来、スメルジャコフのところへ話しに行くのは、これでもう三度目であった。あの兇行後、初めてスメルジャコフに会っ…

『カラマーゾフの兄弟』第十一篇第五章 あなたじゃない

[#3字下げ]第五 あなたじゃない[#「第五 あなたじゃない」は中見出し] アリョーシャはイヴァンの家へ行く途中、カチェリーナが借りている家のそばを通らなければならなかった。どの窓にも、灯火《あかり》がさしていた。彼はふと立ちどまって、訪ねて…

『カラマーゾフの兄弟』第十一篇第四章 頌歌と秘密

[#3字下げ]第四 頌歌と秘密[#「第四 頌歌と秘密」は中見出し] アリョーシャが監獄の門のベルを鳴らした時は、もうだいぶ遅く(それに、十一月の日は短いから)、たそがれに近かった。けれど、アリョーシャは何の故障もなく、ミーチャのところへ通され…

『カラマーゾフの兄弟』第十一篇第三章 悪魔の子

[#3字下げ]第三 悪魔の子[#「第三 悪魔の子」は中見出し] アリョーシャがリーザの部屋へはいると、彼女は例の安楽椅子になかば身を横たえていた。それは、彼女がまだ歩けない時分に、押してもらっていたものである。彼女は出迎えに身を動かそうともし…

『カラマーゾフの兄弟』第十一篇第二章 病める足

[#3字下げ]第二 病める足[#「第二 病める足」は中見出し] 用件の第一は、ホフラコーヴァ夫人の家へ行くことだった。アリョーシャは、少しでも手早くそこの用件を片づけて、遅れぬようにミーチャを訪ねようと思い、道を急いだ。ホフラコーヴァ夫人はも…

『カラマーゾフの兄弟』第十一篇第一章 グルーシェンカの家で

[#1字下げ]第十一篇 兄イヴァン[#「第十一篇 兄イヴァン」は大見出し] [#3字下げ]第一 グルーシェンカの家で[#「第一 グルーシェンカの家で」は中見出し] アリョーシャは中央広場のほうへ赴いた。彼は、商人の妻モローソヴァの家に住んでいる…