『カラマーゾフの兄弟』第12篇

『ドストエーフスキイ全集 第13巻 カラマーゾフの兄弟』(1959年、米川正夫訳、河出書房新社)P328-P359

決を下して、いやが上にその声を挑発し、ますます高まりつつあるその憎悪を受くるなからんことを!………」 一言につくすと、イッポリートは非常に熱してはいたけれど、十分|感動的《パセチック》に論を結ぶことができた。実際、彼が聴衆に与えた印象はすばら…

『ドストエーフスキイ全集 第13巻 カラマーゾフの兄弟』(1959年、米川正夫訳、河出書房新社)P304-P327

たことであります。つまり、もはやこれ以上要求しない、父親との遺産争いはこの六千ルーブリでけりをつける、とこういう意味の書面が残っています。そのとき彼は初めて、高尚な性格と立派な教養をもった、一人の年若い処女に出くわしたのです。ああ、私はこ…

『ドストエーフスキイ全集 第13巻 カラマーゾフの兄弟』(1959年、米川正夫訳、河出書房新社)P280-P303

の席から叫んだ。 何といってもこの小さな逸話は、傍聴人にある快い印象を与えた。しかし、ミーチャにとって最も有別な効果を生み出したのは、カチェリーナである。が、このことはあとで述べよう。それに、全体として 〔a` de'charge〕([#割り注]被告に…

『ドストエーフスキイ全集 第13巻 カラマーゾフの兄弟』(1959年、米川正夫訳、河出書房新社)P261-P279

[#1字下げ]第十二篇 誤れる裁判[#「第十二篇 誤れる裁判」は大見出し] [#3字下げ]第一 運命の日[#「第一 運命の日」は中見出し] 筆者《わたし》の書いた事件の翌日午前十時、当町の地方裁判所が開廷され、ドミートリイ・カラマーゾフの公判が…